小鳥先輩である。
小鳥先輩とは?
小鳥先輩のようなものである。

小鳥先輩は恋がしたいと思いついたので、隣の席の野鳥の会書記に申してみた。


恋がしたい。


野鳥の会書記は言った。

してるじゃないっすか。


余談ではあるが野鳥の会書記のくちばしはいつもツヤツヤしている。
いいなあ〜ツヤツヤしやがってと小鳥先輩はたまに思う。
心の中で野鳥の会書記を
ツヤコや…
と呼んでみたりする。


小鳥先輩の妄想の中でツヤコは鬼太郎のようなちゃんちゃんこを着て日本人形を抱いてる。
落ち葉で焚き火をしている。
焼き芋が出来あがる。ツヤコはホクホクと食らう。
小鳥先輩は本来焼き芋は好まないがツヤコの食べている焼き芋は横どりしたくなる。
ツヤコは美味しそうに食べるのがうまい。
グルメリポーターになればいいのに…
そして日本各地のシュークリームのクリームだけ抜いて
小鳥先輩にクール宅急便してくれればいいのに…。


小鳥先輩は心の中で野鳥の会書記の将来に
勝手な要望を申し立てた。


本題に戻る


恋。そう恋である。

実は小鳥先輩には入社当時から目をつけていたオスのチョウゲンボウがいた。


チョウゲンボウ



小鳥先輩は骨格がガッチリとしていて厚かましくない程度に筋肉がついた鳥が好きだった。
目を見つめるとぶっきらぼうにしかしながら照れているのが明らかにわかるトーンで

「なんっすか」
と言ってチチチチチ…と近くの木立に飛んでいってしまうような鳥が好みだった。

チョウゲンボウと話したことはなかったが、小鳥先輩はその類稀なる歪んだ観察眼でもって彼が上記のようなチョウゲンボウであると決めつけた。


うぬ!隙あらば彼と栂池になりたい!
小鳥先輩はもんどりをうった。

実際危うく夜のおやつにしてしまいそうなほど
彼の外見は小鳥先輩の好みだった。

どうやったら彼に近づけるだろう。小鳥先輩はあれやこれや画策をした。
画策をする時間も楽し。これぞ恋!
チョウゲンボウの毛づくろいをしてあげたい。チョウゲンボウと餌付けしあいたい。チョウゲンボウの羽毛に頭をうずめたい・・・。

私の名前はラブバードなんつって!
小鳥先輩はあっという間に片思いをこじらせていった。

しかし!
小鳥先輩のかわいらしく厚かましい妄想の日々はあっけなく終わった。
チョウゲンボウはすでに法的に栂池っており、なんと雛を2羽も孵化させているというではないか。
重ねて、なんとチョウゲンボウは小鳥先輩より年下だという。
小鳥先輩はもんどりをうった。


人の鳥を手乗りにするわけにはいかぬ。
だって私はフリーバード!チチチチチ・・・


小鳥先輩は烏森口方面に飛び立った。


あれから4年。
たまにチョウゲンボウを見かけるたびに、
やっぱ好みやわぁ・・・。と小鳥先輩は羽毛を膨らませていた。
しかし、とくに言葉をかわすこともなく日々は過ぎていった。


そんなある日。
小鳥先輩はチョウゲンボウに接近する機会を得たのである!

きっかけは同じ群れの黄連雀先輩の一言であった。

黄連雀先輩


「たまには関連する群れと交流会でもしませんか。」

黄連雀先輩はチョウゲンボウの元上司である。
関連群れとの交流会・・・ということは!!

小鳥先輩は鳩胸をさらに膨らませた。

   〜誰が呼んだかラブバード〜 第一部
                      完

思いのほか長くなったので今日はこれまで。
と水遊びの準備をしながら小鳥先輩は言っている。
続きは・・・。
小鳥先輩は巣箱に戻ってしまった。